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2008/09/18

黄金のアーンヴァル:インターミッション

コト。
ソレが闇に黒く濡れたアスファルトの上に落ちる。
ゆっくりと、抱きとめるものもなく、まるで柔らかい綿に吸い込まれるように、ソレは、落ちた。

つい先ほどまで、『神姫』だったモノ。

傷はただ一つ。彼女の刃が貫いた胸の傷のみ。
あまりにもあっけない幕引きに、ソレのマスターだった男は我に返るのに数秒を要した。
男は神姫の名を叫びつつ、ソレを拾い上げる。

あまりにも無駄だった。
ここはリアル。
CSCを砕かれた神姫が返事をすることは、永遠に、無い。

泣き叫ぶ男は、すでに自身の身の危険を忘れ去っているのだろう。
---「マスター! 逃げて!」
彼女と出会った時にソレが発した警告も、もはや無意味だった。

しかし・・・
じっとソレを見つめていた彼女は軽く首を振ると、人間など目に入らないかのように無造作に身を翻し、その場を立ち去った。

・・・

ブン
低い音をたてて立体映像が消える。

「以上が、昨夜の『辻斬り』じゃ」
20人ほどが入れる会議室の中央で、一人の神姫が声を発した。
その声で呪縛がとけたかのように、楕円の巨大なテーブルを囲むように座る男達がいっせいに口を開いて何かをわめきだした。

「官憲に知れたらどうするつもりだ!」
「知らぬではすまないな」
「なぜあれが動いている! マスターを失って一月にもなるぞ!」
「は、破壊しろ! 月読(ツクヨミ)!」
「どうして止めなかった!」

皆が何を言っているのかわからない。

男の叫び!叫び!叫び!叫び!
悲しみが胸に突き刺さる!突き刺さる!刺さる!刺さる!
なにをばかな!モノが壊れただけだ!壊れただけ!壊れた!壊れた!

頭の中で言葉が回る。


「クケケ。マスターなくして動くとは、黄金の女神と同じではないか。様子を見るがよかろう。クケケ。」
『錬金術師』の耳障りな声が、私を現実に引き戻す。
いつものように、会議の結論は『錬金術師』の言葉どおりになるのだろう。

私は再び会議を意識の外に締め出した。

そうだ、あの時、あの男はなんと言ったのだったか。
・・・
「人は死ぬと、重くなるそうですよ?
 天へと向かう魂が抜けてしまうからだとか。
 はたして、神姫(アレ)は壊れると重くなるのでしょうか?」

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