黄金のアーンヴァル:インターミッション
「神器 雷鎚ミョルニル」
それがその武装の名だった。
「雷神トール」
それがその神姫の名となるはずだった。
「廃棄品」
一度も雷をまとうことができなかったそれは、『錬金術師』がかかわった中で数少ない失敗作として、その不名誉な名を受けた。
私の頭を、あの男の言葉がよぎる。
「神姫は純粋すぎると思いませんか?
彼女たちの行動原理はマスターへの愛を以てマスターの望むことをなす。
その一点なのですよ?」
それがなんだと思っていた。
「あなたは、失敗かもしれないと思っていませんでしたか?
うまくいくわけが無いと思っていませんでしたか?
彼女はその思いを叶えたのだとは思いませんか?」
そんなバカなことがあるかと思っていた。
しかし、言葉は遅効性の毒。
ゆっくりと、私の心をむしばんでいく。
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